「出すこと」の重要性は、現代文明にも当てはまる
「出すこと」の重要性は医療の分野に留まらず、現代文明全般についても当てはまるというのが私の考えです。20世紀はまさしく、「入れる」ことに全力を傾注した時代であり、企業は利益を、個人は資産を増やす(=「入れる」)ことにのみ狂奔し、「出す」ことに目がいかなかった時代だったと思います。それに対して、21世紀は「出す」ことに指針を合わせ、無駄なものや過剰なものは容赦なく捨て(「出し」)、本当に必要なものだけに絞り込み、シンプルに暮らしていくことを大事にすべきだと思います。おしゃれなグルメ本とは正反対の実質的な食の本が次々に話題ベストセラーになっているのも、過食や美食に背を向け、体に負担をかけない正しい食事をしたいという時代のニーズに合致した結果だと思います。また長引く経済不況のもと、雇用体制の改革などが問われていますが、これからの時代は自分か仕事の選択を考える時、自分が社会にどのように役立つか、どのように貢献できるか、何かできるかといった「出す」ものを優先させ、その観点から仕事を選択するようになってほしいと思います。つまり、自分の仕事を通じて社会に貢献し、その見返りとして給料をもらうということが本来の姿だと思うからです。しかし残念ながら、給料や労働条件を第一に考えている人が多く、仕事の内容や仕事を通じて自分に何かできるかということを考えている人はまだまだ少ないのが現実でしょう。経済不況のもう一つの原因として、日本人はお金を貯め込んでばかりいて、お金を使わない、すなわち「お金の便秘」ということも挙げられます。体の便秘と同じように、お金を貯め込んで出さないと、経済の調子が悪くなります。